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第10回シンポジウム:アピール文

【2016年4月12日 第10回シンポジウムにて発表】


日本国憲法9条2項は、陸海空軍その他の戦力の不保持を規定している。日本国は、国家として戦力を持つことを否定しているのである。また23条では、「学問の自由」が明記されている。これは、大学の自治が自由権として保障されている、ということである。

日本の大学が、戦後、軍事利用のための研究から距離をとってきたのは、戦力を持たない日本国において、その必要がなかったからであり、加えて、「学問の自由」の下、戦争への反省とともに、大学の自治が機能してきたからである。これは、戦後日本の大学の誇るべき伝統である。

しかし、武器輸出三原則を撤廃し、秘密保護法を制定し、集団的自衛権を解禁した安倍政権の下で、研究者の軍事的研究への関与が促されつつある。しかし、軍事利用のための技術の研究は、やはり否定されるべきである。科学は人類の利益になるために追求されるべきであるが、戦争に利用される技術は、人類に害悪をもたらすからである。平和憲法をもつ日本の大学での研究は、戦争に利用されるものであってはならない。このことは、各大学において、研究のためのルールとして再確認されるべきである。

集団的自衛権の解禁と軍事研究の解禁は連動しており、軍事力によらない平和の構築という日本の憲法のあり方を根底から変更するものである。軍事研究に手を染めない大学のあり方を維持できるかどうか、大学人の矜持が問われているのである。


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