第26回シンポジウム:アピール文
【2017年8月5日 第26回シンポジウムにて発表】
2017年8月3日、安倍首相は、内閣改造をおこなった。森友問題、加計問題、共謀罪の強行的制定によって支持率が下がった結果、自民党内のさまざまな立場の有力者を入閣させることによって、内閣の安定を図ろうとしたものである。憲法改正についても「日程ありきではない」と明言した。
このこと自体は、日本国憲法の立憲的なメカニズムが働いた結果といえる。権力の私物化に対して、世論による歯止めがかかったのである。
しかしながら、内閣改造によって森友問題、加計問題が解明されたわけではなく、また、新安保法制と共謀罪が廃止されたわけではない。もし支持率が上がっていけば、安倍首相やその支持勢力は、再び、憲法をないがしろにする政治を始めるだろう。
新安保法制の目的は、軍事力に裏打ちされた経済力によって世界を支配しようとする「大国」に、日本が正式に加わることである。しかし、日本国憲法第9条は、そのような野望を阻む法的効果を有する。しかし安倍政治は、2014年7月1日に、閣議決定によって第9条の意味を変更し、2015年9月17日、新安保法制を制定した。さらに、第9条第3項の追加という安倍改憲案は、「自衛隊の承認」という名目で、この「法学的意味のクーデター」(石川健治東京大学教授)を隠蔽しようとしている。
日本国憲法は、権力行使を可視化し、統制することによって、権力が国民全体の利益のために使用されることを確保する。特に第9条は、軍隊の恣意的使用という西欧立憲主義国でさえ未だ完全には克服できていない問題に対する日本国民の答である。この規範は、中東やアフリカへの大国の軍事介入を批判し、東アジアにおける融和を要求する。戦争の可能性を可能なかぎり除去し、対立を平和的手段によって解決することによって、全世界のすべての国民の生存権を実現しようとするものである。
わたしたちは、引き続き、日本国憲法が尊重される政治を求めて、活動を続けていきたい。
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