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第27回シンポジウム:アピール文

【2017年9月12日 第27回シンポジウムにて発表】


「ねぇ なぜ戦争はなくならないの?」 「言うこと聞かないなら,やっつけちゃえばいいじゃん」


いま,子ども達は一方で貧困におびやかされつつ,同時に強者になること,暴力への誘惑のなかで,するどい問いを投げかけつつある。いま進みつつある教育の再編がどのような子ども観を前提にしているのか,よく見極めないと私たちすら子ども達との対話の機会を失う。

私たちは,彼・彼女たちに何を語ることができるだろうか。子ども達は私たちにとって未来への希望である。しかし同時に,そんな私たちの姿に対する最もするどい批判者でもある。子ども達に何を教えるか,子ども達に問われているのである。

国際情勢に「危機」が迫りつつある。この国には,「危機」を作り出し,かつ利用しつつ人びとを戦争に,少なくとも戦争を許容する心理状態に導きつつある一連の動きがある。

そして、違憲の新安保法制が可能にした集団的自衛権は、アメリカの主導する国際戦略に日本が積極的に参加することを意味する。その結果、北朝鮮との緊張関係はさらに高まり、戦争を許容する心理が社会に広く醸成される。まさに負のスパイラルである。

しかし、もし、アメリカが北朝鮮を攻撃するならば、韓国と日本に甚大な被害がもたらされる。したがって、この選択肢はとりえない。本気で多くの人命を守りたいのであれば、どんなに困難であっても粘り強く対話を模索していくしかない。

日本国憲法第9条の選択は、隣国との対話によって、お互いの安全を保持しようというものである。憲法に従うのであれば、「圧力」ではなく、「対話」を模索しなければならない。その役割は、本来、平和憲法をもつ日本が担うべきである。

憲法9条に自衛隊を明記しようという改憲案は、集団的自衛権をも認めてしまった「現状」を憲法上肯定することが目的である。そうなってしまえば、隣国との緊張関係を和らげるための重要なツールをわたしたちは失うことになる。

わたしたちは、憲法を変えるのではなく、憲法にしたがった政治こそが、「全世界の国民」(日本国憲法前文)と日本国民の真の利益となると考える。子どもたちには、対話による平和構築の重要性を教えなければならない。日本国憲法は、そのような教育を求めているはずである。


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