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第31回シンポジウム:アピール文

【2018年1月9日 第31回シンポジウムにて発表】


最初は安全運転だった安倍政権が、日本国憲法に反する政策を進めるようになったのは、2013年7月の参議院選挙後のことである。安倍政権は、まず、その年の12月に特定秘密保護法制定を強行した。次に、2014年の7月1日、集団的自衛権の行使を解禁するという憲法解釈の変更をおこなった。そうして、2015年9月19日、集団的自衛権の行使を認める新安保法制を成立させたのである。


新安保法制の撤回を求める信州大学人の会の活動は、同法制制定の議論がなされていた2015年7月にはじまった。これまで取り上げたテーマは、集団的自衛権、原発、軍事研究、共謀罪、戦争責任など多岐にわたるが、いま振り返ってみると、それらは一本の線につながっている。それは、日本国憲法が日本国民に保障してきた人権、民主主義、平和の価値を学問を通じて擁護することである。


2018年1月4日、安倍首相は、改めて憲法改正の意思を国民に示した。しかし、なぜ改憲をしなければならないのかについて、「時代の変化」というほかには、全く説明がない。


憲法を時代にあわせて変更した方がよい場合もあろう。しかし、新安保法制によって憲法を破った安倍政権に、改憲を主張する資格はない。憲法は、為政者のものではなく、国民のためのものである。そのことを理解しない権力者が主導する憲法改正ほど恐ろしいものはない。


人権、民主主義、平和の理念を掲げる日本国憲法は、そうしたものを脅かす動きが強まっているいまの時代にこそ、ますます、重要な意義をもつようになってきている。


わたしたちは、今年も、学問の自由を行使して、憲法の価値を守る活動をおこなっていきたい。


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