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第37回シンポジウム:アピール文

  • 執筆者の写真: shinshudaigakujin
    shinshudaigakujin
  • 2018年7月10日
  • 読了時間: 3分

更新日:2019年6月11日

【2018年7月10日 第37回シンポジウムにて発表】


新安保法制の成立から3年目の夏を迎えようとしている。この期間の歴史は,どのように理解され,描かれるのだろうか?「新安保法制とその時代」は、「記録」と「記憶」の十分な検証を通じて、偽りなく描かれなければならない。


しかし,歴史を描く基盤そのものが溶解し,失われつつある。記録の秘匿が進んでいる事例として、新安保法制を具体的に担う自衛隊とアメリカ軍の一体化により軍事情報の共有が進んでいる。また,共謀罪成立により治安関係機関による情報収集は格段と進んだ。国家の実力装置はこの間確実に情報の集積と機密化を進めてきたのである。


「記録」と「記憶」をめぐって紛糾している事態として、森友学園と加計学園の問題が挙げられる。これらの問題について、行政府は国民に対する説明責任を果たしていない。権力をもつものは、国民のために、その権力を適正に行使する義務がある。そのためには、権力の行使には透明性が求められる。権力の行使を自己や自己に近しい人のために使用したことが少しでも疑われるならば、それを払しょくする法的義務が権力者にはある。しかしながら、現政権は、その義務を果たしていない。


さらに、森友学園問題では、首相夫人に関連する記述が、決裁文書から削除されたことが明らかになっている。この問題を、一官僚の責任にして終わらせてはならない。彼がなぜそのようなことを命じたのか、引き続き説明を求めてゆかなければならない。


加計学園問題では、愛媛県がもっていた資料に、加計幸太郎学園理事長が2015年2月25日に安倍首相と面会し、獣医学部新設について説明をしたことについて報告を受けた旨の記述があった。そうであれば、安倍首相は、加計学園が獣医学部の開設を望んでいることを、事前に知っていたことになる。これに対して、加計学園の事務局長が、自分が虚偽の発言をしたと述べた。しかし、成熟した社会において、このような説明がまかり通るはずはない。たとえば、契約において、その前提となる重要事項が虚偽であれば、契約は成立しないだろう。学園に対して今治市や愛媛県は補助金を出しているのである。事務局長が「首相との面会は嘘でした」と言っただけで済まされる問題ではない。


懸念されるのは、わたしたちが、このようなずさんな説明に慣れてしまうことである。民主社会の核心である「適正な手続き」がおろそかにされる事態を見逃すならば、わたしたちは国民としての責任を放棄していることになるだろう。


なによりも、こうした記録と記憶のあり方は、新安保法制下で実現してしまうであろう市民的権利の侵害や、なによりも武力行使による犠牲者の意味を検証することを阻害するだろう。新安保法制問題と森友加計問題が同時に進行する現代日本は、相当深刻な状況にあるといわざるをえない。


それでも、わたしたちは、日本社会の将来をあきらめるわけにはいかない。一つ一つ問題点を明らかにし、批判的に対峙していく活動を、これからも続けていかなければならない。


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